創作 破滅の望(仮)

一次創作「破滅の望(仮称)」のまとめ。※グロ描写、多少の工口描写を含みます。

破滅の望 9話

「ただいま、菜白…!?」
玄関には床で眠る菜白の姿があった。涙の後がついている。出かける前とまるで違う、苦しそうな顔をしてる。なんでだろーか、菜白も人間のはず…人が苦しんでるのに興奮しねぇなんて…。
「う…いぶき…かえって…きて…?うぅぅっ…!!あいたかったよぅ…?」
死体運ぶ時みてーに持ち上げてみたら、どんだけ不安だったんだよってレベルで泣きながらしがみついてきた。会いたかったって…俺1時間も出かけてねーぞ?
「玄関のね…?ドアの音で起きてね…?机に手紙置いてあってね…?寂しかったんだよ…?」
ごめん…ごめん…菜白…!もうぜってー手紙だけで出かけたりしねーから!頼む…許してくれ…。
「また泣いちゃった…ごめんね。重たい事も言っちゃったし…どうか…どうか…嫌いにならないで…。もし伊吹が私の事嫌いになっても…私は伊吹のことだーいすきだよ…!」
「お前なぁ!!嫌いになんてなる訳ねーだろ?!菜白は…俺が初めて護りたいと思った…大事な人だ…。」
あああああ言っちまった!大事な人とか!ヤベぇ…死ぬほど恥ずかしい…。目ぇ逸らそーとしても菜白は、伊吹は菜白の事すき?とでも言いたそうな顔でこっち見てる…。
「俺も…菜白のこと…大事だし大好きだぞ…!」
さっきまで人殺してたとは到底思えねぇこと言ったな。てか早くこれ冷やさなきゃ腐っちまうな…。そんな事をぼんやり考えてたらいつの間にか菜白がクーラーボックスを開けようとしていた。
「ふぁ!?これ…今殺してきたの…?私今殺したてほやほやの人に抱き締められてたの…?」
もっちろん今殺ってきたんだよなぁ…。殺したてほやほやの人って言い方じゃ殺された側じゃねーのか?なんてのは考えるだけ無駄か。
「これ…このまま冷蔵庫でいい?」
「あ…いや…内臓はチルド室…。胴体は冷蔵、足とか腕は冷凍かな…。脳みそは今から食うつもりだからそのままで…」
菜白がさも当たり前みてーに人肉運ぼうとしだしたからビビった。コイツ今いくつなんだ?下手したら小学生だろ…?そんなちっせぇ子が殺人鬼崇拝してその手伝いして…ヤベーな、俺が言えた事じゃねーけど。俺は上着を脱ぎながら聞いた。
「なぁ、お前そーいや今何年なんだ?5年とか?」
「1年生だよ〜…中学校のね!小学生じゃないよ!?」
こんなちっちゃくて可愛い中学生居るんだな、抱きしめてもふわっふわだし。俺が今まで命乞いする中学生ぐらいしかちゃんと見た事ねぇのもあるだろーが菜白は特別なんだろーなぁ…かわいい…護ってやりてぇ…今人肉運びながら喋ってるけど。
「そういえば伊吹さっき脳みそ今から食べるって言ってたけど脳みそ食べるのって危ないんじゃなかった?確か致死率とかすっごい高い病気に…」
菜白がクールー病知ってたとは…でもまあ俺みてーなカニバリストについて調べてたりしたらやっぱり気になるのか?
「そーだなぁ。でも菜白?俺を…お前が大好きな殺人鬼を…DesireCatastropheをなんだと思ってる?電気椅子を…あの…何回生き延びたんだっけ?」
肝心な所を忘れてしまった。確か7、8回は生き延びた気がする。
「そっか、Desire様すっごいタフだもんね!あと生き延びたの14回だよ」
マジでコイツ何者なんだよ、俺について何でも知ってやがる。秋斗からでも仕入れたのか?
「伊吹〜!お腹すいたぁ……作るのは出来るけどどれ使っていい…?」
一瞬作って欲しそうな顔してた。そーだよな、たまには人が作ったあったけぇ飯食いてーよな。
「んー?じゃあ…さっき菜白が運んでくれたアレ…使うかぁ!作んのも俺がやるぞ!テキトーにテレビでも見ながら待ってろ?気になるなら見ててもいーがな!」
俺は普段カップ麺ばっか食ってるような状態、普通の飯作んのは確実に菜白のが上手いだろーな。でも人肉の処理っつったら俺のが上…かもしんねー。
「あの…えと…私…ほんとに何もしなくていいの?あと伊吹明日お仕事あるんじゃ…」
「あぁ!ゆーっくり休みな!俺明日休みなんだよな〜…もう今日だけど」
俺の仕事の心配までしてくれるとか…いい子過ぎんだろ…これで家で厄介者扱いって何なんだよ…!
「なぁ、菜白!お前アレルギーとかってあるか?アレルギー以外も…苦手なヤツとか…」
「無いよ〜!ほんとに作ってくれるんだ…どきどきする…」
俺が今から作る飯がコイツの初めての食人になるんだ、そう考えたらすっげー緊張する。折角なんだから美味いの食わしてやりてーなぁ…。料理用に使っている包丁を取りだし、かなり大きめの肉塊を食べやすいサイズに切り分ける。口の中いっぱいに頬張るのがそれはそれは美味いんだ。結構しっかり火ぃ通して、味付けはすげー軽く塩コショウだけ。結局後でステーキソースとかかけるしちゃんとやらなくてもそんな問題は無ぇ。菜白は落ち着かないのか特に意味も無くウロウロ歩き回ってる。それにしても可愛いな…菜白…!
「伊吹も食べる…よね?一緒にご飯食べるの…楽しみだな〜っ!」
キラキラって目ぇ輝かせてそー言った。なんかお泊まり会に誘われた子供みてーだ。
「っははは!ふつーの飯食うよーな子供同士のかわいー遊びじゃねーがな!お前は今から共犯者になるんだよ…」
「もう既に共犯者なんじゃないかな。遅くても、死体運んだ辺りから…」
確かに。なんつー名前で捕まんのかは知らねーけど多分あの時点でアウトだ。まぁ俺は菜白をアイツらに渡すみてーな馬鹿な事ぁしねーから関係ないが。そうこうしている内に料理は完成した。クソ…ソース入れる小皿用意するの忘れてたな。
「伊吹〜!わぁ…それ…すごい…!あと小皿、要るでしょ?」
「はははッ、すげーだろ?なんてったって俺の特別製だからな!あと、…あ!」
小皿用意してくれたのか!なんて気ぃ利く奴なんだ…!洗い物増えんのめんどくせーからフライパンのまま、ソースだけ小皿に入れてテーブルに運ぶ。普段は1人ですげー悪い姿勢で座ってる2人がけソファに、菜白が先に座ってたから久しぶりにまともな姿勢で座った。
「わぁ…ステーキ…美味しそー!いっただきまーす!」
よく原材料知ってて美味そーって言えるな、コイツほんとに人食った事ねーのか?あと菜白ほんと礼儀いいな。そー思いながら俺も食べ始めた。味は中々上出来、気になる事なんて強いて言やぁちょっと火ぃ通しすぎて気持ち固いことぐらいだな。菜白も俺も結構なペースで食べっから、すぐ完食しちまった。でもまぁこれから寝るし…これぐらいがちょーどいいのか?
「ご馳走様でした。すっごい美味しかった!…また作ってくれる?」
もっっちろん!!…って、人肉食ハマってんじゃねーか。もっと美味く作れる時もある、それも食わせてーな。
「んみみ…もうそろそろ眠たくなってきちゃったな。今度こそ、1人にしない?」
「あぁ、さっきは悪かった。んー…どーする?今度食料調達行く時ついてくるか?」
菜白を1人で置いて行くのももう出来ねー、かといって人殺りに行くの辞めんのも無理だ。俺が食いてーのと食費削りてーのに加えてリクエストまで貰っちまったからな。…脳みそがそろそろ食べ頃だろう、首から上をまるごと突っ込んだ袋を開けた。人間の血の匂いが立ち込めている。
「いぶき…?これ何のにお…い……!?」
流石に頭そのまんまは怖かったか?菜白は酷く怯えた表情で後退りした。怖がってる…かわいい…。その時俺はさっき興奮しなかったのが 菜白だから じゃなくて 寂しがっていたから な事に気付いた。怯えてんの…命乞いするよーな顔してたらかなり興奮する。もっと…悲鳴とか聞きたい…!さっき殺したとこなのにもう欲溜まってきた。菜白殺しちまわないように必死で自制している。とりあえず食欲でかき消して誤魔化すことにした。机の上にブルーシートを敷いて、キッチンの引き出しに入れてあるハンマーで頭蓋骨をかち割った、柔らかそーな脳みそから血が溢れてるのがわかる。美味そーだ。髪は血塗れにならないようにテキトーに結んで、そのまま俺は脳みそを食らい始めた。理由は分かんねーが脳とか内臓食ってると凄ぇ気持ちよくなっちまう、理由は分かんねーが変態以外の何者でも無ぇな、これ。菜白にはぜってー見せらんねー…そーいや菜白どこ行った?なんか俺の部屋から気配するが。…一応食べ終わって処理もした、もう菜白は寝てるかもな。
「いぶき〜、きて…。」
やっぱりここに居たか。菜白は柔らかい笑顔で両手広げてる、また俺に抱き締められたいんだろーか?あまりにも無防備な姿の…か弱い菜白に襲いかかりたくなる自分を全力で押さえつけて、そのまま寝る事にした。今度こそおやすみ、菜白。俺の欲なんて知ったこっちゃ無ぇよーな幼い寝顔で俺にしがみついてくる菜白の頭を撫で、俺もそのまま眠りに落ちた。