創作 破滅の望(仮)

一次創作「破滅の望(仮称)」のまとめ。※グロ描写、多少の工口描写を含みます。

破滅の望 1話

「もう二度とあんなふざけた事を言うな!分かったな?」
「…分かりました…ごめんなさい。」
私は花畑菜白、なんの取り柄も無いただの中学生。勉強も運動も何もかもお姉ちゃんの方が上、だから学校で虐められても誰も助けてなんてくれないんだろう。今日も家族に沢山迷惑をかけてしまった。お父さんに叱られるのも当然だろう。お父さんはいつも「優秀な人間しか家に要らない」って言っている。私がお父さんにとって厄介者でしか無いことぐらい、簡単に想像がつく。
「Desire様…だいすき…わたしを…たすけて…?」
Desire様は大体10年くらい前に世間を騒がせた最恐の殺人鬼「Desire Catastrophe(ディザイア カタストロフィ)」様の事。殺した人を食べた疑惑もある。こんな事考えちゃいけないのもわかってるけど、もしかしたらいつか虐めっ子やお父さんを殺してくれるかもしれないって思ったら、信じる以外の選択肢は無かった。
「はぁ…アンタねぇ…また"アイツ"の事考えてたの?」
ノックもしないで姉が部屋にやって来た。
「そんなに好きなら奴と1度話してみればいい。生きて帰って来れても必ず嫌いになる。」
続けてお父さんの声が聞こえた。1度話してみればいい?それは会いに行っても良いって事なのだろうか?会えたらどんなに嬉しいか…嬉しい通り越えて死んでしまいそうだ。いや、彼に殺されるなら本望か。
「お前はあんな奴の何が好きなんだ?アイツは…隼は…ただの狂人だ。かっこよくも何ともない。」
貴方を殺してくれそうな所、なんて言ったら絶対また叱られる。今度は叱られるじゃ済まないかもしれない。それに、それらしい理由をつけた所でお父さんやお姉ちゃんなんかに彼の良さが分かる訳が無い。今まで彼と私を散々否定し続けてきたアイツらに…。過去の記憶が次々蘇ってくる。苦しい…Desireさま…たすけて…あいたい…
「お父さん…Desireさm…隼和真に、会いに行ってもいい?」
「フン、手助けもしない、金もやらん。それでも行くなら好きにしろ。お前は奴の幻想を信じてる、会ったら幻滅するだろうな。死んでも知らんぞ。」
お父さんは私が死んでも特に困らないんだろう。薄々そんな気はしていたが、引き止められなかった。でもその方が都合はいい。彼の今住んでいる大まかな場所は、お父さんの机の上にあったメモに書いてあったから知っている。家からはそんなに遠くない場所だ。彼が外に居るのは何時ぐらいだろうか。今も犯行を繰り返してると考えると22時半前後だろうか。それなら21時ぐらいに家を出れば会える可能性は他よりは高い。今の時刻は19時20分、邪魔さえ入らなければ今日もう行ける。
しばらくお父さんからの邪魔は入らない そう確信した私は、服や財布、必要な物をまとめて部屋の隅にあった埃を被ったキャリーケースに詰め込んだ。えへへ 待っててくださいね、Desire様。もうすぐ会いに行きますから…