創作 破滅の望(仮)

一次創作「破滅の望(仮称)」のまとめ。※グロ描写、多少の工口描写を含みます。

破滅の望 11話

「俺が小学校高学年ぐらいの頃だったな。成績優秀スポーツ万能、周りの大人に好かれてて子供…同級生にも人気ある。そんな奴に虐められてた。俺がいくら平均より運動出来たとはいえ、ちゃーんと体育教室とやらに習いに行ってるよーな奴らには勝てなかった。んで勉強に関しては酷ぇぐらいボロッボロだったから、アイツからしたら格好の指摘点だったんだろーな。転機はあの1日だった。
俺は虐めだと思ってたしアイツも悪意ありそーだが周りはイジりだと思ってる、家が近いってだけの理由でそんな会話しながら通学路歩いてた。途中で一緒に公園行こうって誘われた。ほんとは寄り道禁止だから他の奴らは撒いて2人だけで公園…まぁ山みてーなとこに行った。そこでアイツは
「君はさ、僕の事まさか友達だなんて思ってないよね。都合いいから一緒に居るだけ。友達だなんて誤解されてたら気持ち悪いから言ったけど、周りにチクったら…どうなるか分かってるよね。」的な事言ってきたんだ。そこで俺は思ったんだよ、今コイツ殺しても直ぐはバレねーんじゃねーかな ってな。ちょうどその日図工の授業でカッター壊して先生に直してもらってて、帰りに受け取ってポケットに入れっぱだった。山から降りようとしたアイツの足引っ掛けて転ばせた後、首周りを突き刺した。その後仰向けにしてアイツの体中恨みのままにメッタ刺しにした。変な角度で刺してたから返り血はそんな浴びなかったな。」
うちの学校にも居たな、そんな子。それにターゲットにされて…。これが伊吹の初めての殺人なのかな。聞くつもり無かった話まで聞けてラッキー…なのかな?そういえば凶器はどうしたんだろう。見つかったらすぐバレる気がする。
「カッターは…どうしたの?」
「カッター?次の日ゴミの日だったから新聞包んで捨てた。親にはポケット突っ込んで持って帰ってたら知らねー間に失くしたって言った。いま考えたらなんでこれでバレねーんだよ…。」
確かに何でこれでバレなかったんだろう。遺体自体その日の内に見つからなかったのかもしれない。連続殺人鬼…シリアルキラーは人殺す前に動物虐待とかしてる率高いって聞いたけど、伊吹はどうなんだろうか。調べた限りそんな情報は出てこなかったが、もしかしたらやってたけど出回ってないだけかもしれない。
「伊吹は…その…動物とか…故意に傷つけた事ってある…?」
「あー、動物虐待?殺人鬼って火遊び、おねしょ、動物虐待 多いって言ったりすんもんな〜、なんだっけ、名前忘れた。俺はどれも無かったな。いや、火遊びはやった事あるけど…やんちゃな子だったら結構やんじゃねーの?」
確か名前はマクドナルドの3兆項…だったっけ。動物虐待やおねしょは無かったけど私も火遊びだけはやった事がある。手の力がついてライター付けれるようになってから楽しくて色々やってた。要らなくなったチラシとか返却された宿題とかに火付けて、お父さんに見つかって凄い怒られたりしたな。
「私も…火遊びはしたことある。えへへ…お揃いだね…!伊吹は動物好きなの?」
「俺が?んー…そんな好きでも嫌いでもねーな、ただ殺したくなんないだけ。ついさっきまで饒舌に喋ってた人間が声にならない声しか出せなくなったり息絶えたりすんのがゾクゾクして気持ちいーんだよ。」
なるほど…。人を殺して快楽を得る原理が分かってちょっとスッキリした。でも自分がその感覚を理解出来るかと言えばまた別。
「はははッ!訳分かんねーだろ?まぁずっと分かんねーのが1番なんだろーけどさ!菜白は俺みたいになるんじゃねーぞっ!」
伊吹はそう言いながら、隣に座り直した私の頭をわしゃわしゃと撫でる。とても人殺しには見えない、少年のような笑顔をしていた。でもどこか寂しそうだ。どうしたら伊吹を満たしてあげれるだろう。少し考えたあと、伊吹の頭を撫でてみた。身長差もそんなに無いから簡単に手が届く。私の手が届きやすいようにか、ちょっとだけ体を丸めてくれた。
「なんか落ち着くなぁ。…もーちょっとだけ、やめねーでくれっか?」
もちろん!伊吹が喜んでくれるなら、いつまででも撫で続けるよ。伊吹がもうちょっとって言ってから10分弱ぐらいたった頃、1つ疑問が浮かんだ。私は伊吹とずっと一緒に居たいけど、仕事によっては明日から朝から夕方まで1人で留守番かもしれない。
「そういえば伊吹のお仕事ってなに?」
明日から1人かも ってのがどうしても不安過ぎて聞いてみた。
「俺の仕事?んー…なんつったらいーんだろーな。まー家のパソコンでやる仕事だから留守番にはなんねーぞ。」
よかった、1人にはならないみたいだ。それさえ分かればぶっちゃけ業種は何だっていい。それにしてもあの質問から私が、留守番が不安なのを見抜くなんてやっぱり普通の人じゃない。これもまた殺人鬼の勘ってやつなのだろうか?いつの間にか伊吹を撫でてない事を思い出してふと振り返ると、伊吹に抱きしめられる形になっている事に気づいた。ずーっとこうしてたいぐらい、大好きな温もり。私今幸せだなぁなんて思っていたら、BGM代わりに付けていたテレビから聞き覚えのある声がした。